Call of Duty vs Humvee


Call of Duty(CoD)は、一人称視点のシューティングゲーム(FPS)です。最近は、オンラインマルチ化していますが、キャンペーンモードでシナリオを進めて行くのが面白いです。

CoD4″Modern Warfare”が一番好きです。チェルノブイリの事故でゴーストタウン化したウクライナ・プリピチャ市のあの遊園地で戦ったり・・・いろんなシリーズをやりましたが、現代戦・二次大戦をテーマにしたものが好きです。未来戦はもう兵器がよく分かりません。

現代戦や二次大戦のキャンペーンモードは史実を織り交ぜたシナリオになっていて、Balck Opps2では、パナマのノリエガ将軍を登場させて、ノリエガ将軍からパブリシティ権侵害訴訟が提起されました。

今回は、CoDシリーズに度々登場する軍用車両Humveeが問題となりました。

Humveeとは、AM Generai社が製造してい高機動多用途装輪車両で、1983年からアメリカ国防総省と契約をして納品している軍用車両です。アメリカ軍以外にも50か国の軍隊と契約しているようです。

AM General社訴状より

AM General社は、”Humvee”を幅広く商品・役務に商標登録しているほか、下記のデザインをTrade Dressとして米国特許商標庁(USPTO)に登録しています。Trade Dressとして登録している商品は、軍用陸上車両とおもちゃの車両、です。

訴状によれば、CoDでは、次のシリーズに登場している、とのことです。

  • Call of Duty: Modern Warfare2
  • Call of Duty:Modern Warfare3
  • Call of Duty 4: Modern Warfare
  • Call of Duty: Modern Warfare Remastered
  • Call of Duty Modern Warfare: Mobilized
  • Call of Duty: Black Ops II
  • Call of Duty: Ghosts
  • Call of Duty: Heroes

こんな感じで登場しています。

AM General社訴状より

AM Generalは、CoDのメーカーであるActivision Blizzard社等に対して、①商標権侵害、②トレードドレス侵害、③不正競争、④出所の虚偽表示、⑤虚偽広告、それぞれ連邦法・NY州法とあるので、訴因が多いです。

メインは、商標権侵害です。連邦商標法のLanham Actの侵害要件の該当性が主たる争点でした。

表現物(ビデオゲーム)への商標の利用が問題となっており、表現の自由と商標権とを比較衡量するRogersテストを採用しています。

Rogersテストは、①商標の使用が芸術関連性を有するか、②商標の使用が明らかに出所を欺くものであるか、を検討します。

①については、CoDでのHumveeの使用は、現代戦をシミュレートしたビデオゲームにリアルさを出すものであるので、少なくとも芸術関連性が全くないことはない、としました。

②については、Polaroidファクターを採用して、当てはめを行っています。

Polaroidファクターは、(a)原告商標の強さ、(b)原告商標と被告商標の類似性、(c)原告商品 と被告商品の近接性、(d)先行する商標権者が事業範囲を拡張する可能性、(e)現実の混同、(f)被告の意図、(g)被告商品の品質、(h)消費者が払う注意の程度などの要素(これらに限定されません)を検討し、商標侵害要件である「混同のおそれ」を判断するために用いられます。

(a)原告の商標の識別力が強いものであることは認めたものの、(b)の類似性は認めませんでした。同じ商標を使っているのですが、異なる目的で使用され、大衆に提示されていれば類似しない、という先例に従ったようです。原告は軍に乗り物を売るためにHumvee商標を使用し、被告はビデオゲームにリアルさを出すために使用した、ということのようです。

他の要素も、(c)両製品は近接しておらず、(d)原告がビデオゲーム産業に参入する可能性を証明していない、という感じでした。

(e)現実の混同は、原告は、CoDを見た消費者のうち16%が混同したという調査結果を提出したようですが、裁判所は、この程度ではなにがしかの混同は認められるが、表現の自由との関係で、この程度の混同は原告が受忍すべき、という感じです。

という感じで検討を進め、Polaroidファクターは被告に軍配が上がりました。

これらを前提に、表現の自由と商標権とを比較衡量して、被告のSammry Judgementを認めました。端々に表現の自由の保護の重要さが伝わってきました。

他の論点も出所の混同のところで切られている感じです。

商品パッケージにHumveeやロゴを使用していれば、結果は変わったかもしれません。

商標については、日本では、商標的使用の有無の判断を通じて、表現の自由の保護が図られているように思われます。

ゲームや映画・ドラマ、漫画など企業ロゴや商品等登場させる手法としてプロダクトプレイスメントが利用されていますが、対価を得ることになるので企業等の承諾を得て実施することになります。

他方、作品をリアルにするために現実の商品名や企業名等を使うことは、知的財産権の問題をクリアすれば、特に承諾は不要となります(描き方によっては名誉毀損等の問題にも留意が必要ですが)。

この手の話には、一昔前であれば、物パブがつきものでしたが、ギャロップレーサー最高裁判決後は、盛り上がらなくなった感じです。

弁護士大橋卓生