ターミネーターがターミネート


米国著作権法の終了権行使の波が音楽から映画に来ている感じです。

終了権制度は、ざっくりいうと、1978年1月1日以降の著作権譲渡や許諾を、譲渡ないし許諾をしたときから35年後に所定の手続を経て譲渡ないし許諾を終了させ、著作者の下に著作権を復帰させる制度です。

この終了権を行使することで、アーティストは、実績がなく、契約の交渉力がない時代に交わした不利な著作権契約の見直しをする機会を得ることができます。

もうすぐ”T2″の正式な続編”Terminator:Dark Fate“が公開されますが、1984年に公開された”Terminator”の脚本家Gale Anne Hurdが終了権を行使するようです。

脚本はJames Cameronと思っていましたが共同創作のようです。今後の”Terminator”シリーズの制作に影響が生じるのかどうか興味深いです。

Disney社も対象となっています。傘下のタッチストーンピクチャーズが手がけ、1988年に公開された実写とアニメの融合した映画”ロジャー・ラビット“。その原作は小説のようですが、小説家が映画化権について終了権行使を検討中のようです。

88年に公開されたティム・バートン監督の”ビートルジュース“(Warner Bors.)の脚本家もしかり。

まだまだ続きます。

映画”ダイ・ハード“の原作小説家もしかり。そういえば、1の悪役はスネイプ先生なのですね。

超強い異星人が最後は素手でシュワちゃんと戦う”プレデター“やホラー系は嫌なので観たことがない”エルム街の悪夢“の脚本家もしかり。

なぜ多いのか、辿っていったところ、昨年、連邦地裁が”Friday the 13th “(13日の金曜日)の脚本家に終了権を認める判決を出したことがきっかけのようです。

13日の金曜日ケースは、現在、2nd Cir.で審理中のようです。

終了権が行使できない場合として、職務著作(Work-for-hire)が成立している場合があります。

レコード会社もそうでしたが、ハリウッドの映画会社も終了権行使に対して、職務著作の主張をしています。

米国では、レコードとは異なり、映画に対しては広く職務著作の成立が認められている中で、13日の金曜日の地裁判決は、大きな反響を呼んだようです。

13日の金曜日の地裁判決がどういう風に職務著作の成立を否定したか興味があるので、判決をみてみたいと思います。

音楽業界では、ニュースを見ていますと、終了権行使を踏まえて、新たなディールを行うようになってきた感はありますが、映画業界では、職務著作で徹底的に争うのでしょうか。

争いは長くなると思いますので、その間、敗訴した場合を考慮して、その作品の続編・リブートなどを製作することがためらわれるのではないかと思います。

作品が作ったフランチャイズを維持するには定期的に作品を世に出していくことが必要と思われます。

結局のところ利益の分配率の問題ということであれば、交渉によって解決するのが双方にとってよいと思います。

弁護士大橋卓生