Ariana GrandeとForever21


ポップスターのアリアナ・グランデがアパレルのForever21とその姉妹ブランドRiley Roseに対し、パブリシティ権・商標権侵害・著作権侵害で、$10M(約10億円強)の損害賠償等を請求する訴訟を提起しました。

アリアナ・グランデは、インフルエンサーでもあり、SNSへの1回の投稿で1000万円超で、長期間のエンドースメントで5億〜10億円超、のようです。

Forever21とRiley Roseは、そうした相場感を知ってか知らずか、アリアナ・グランデに氏名・肖像の利用を申し入れたようですが、金額が折り合わずに契約不成立となりました。

その後、Forever21とRiley Roseがとった行動は、モデルをアリアナ・グランデ風にし、彼女の最新アルバムやシングルのPVでの衣装やヘアスタイルをさせた写真や、同じモデルにアリアナ・グランデが着ている服やよく知られているポーズをさせた写真をInstagramの公式ページにアップし、彼女の楽曲を写真と共に流していたようです。

↓こんな感じです。(訴状より)

確かに、アリアナ・グランデっぽい感じですね。アリアナ・グランデが分からない人のために、同じく訴訟より↓

こうしたスタイルの利用のされた方に対して、パブリシティ権の侵害を中心に訴えています。

このスタイルだけを見て、アリアナ・グランデっぽいと認識できますが、アリアナ・グランデの顧客吸引力を使っているといえるかがポイントになります。

スタイルとパブリシティ権については考えていくと難しい問題に行き当たります。

寅さんのスタイルは、俳優渥美清の顧客吸引力を表すのか、映画のキャラクターに過ぎないのか。裸の大将のスタイルに顧客吸引力が生じるとして、それは俳優芦屋雁之助なのか、俳優塚地武雅なのか。

「CRあっ命」事件(東京地判H17.6.14)で、矢沢永吉をデフォルメしたようなキャラクターをパチンコ機の映像に使用した事件で、矢沢永吉本人とは認識できないとしてパブリシティ権侵害の訴えを退けたケースがあります。

スタイルが本人のアイデンティティーと強く結びついている必要があるとは思いますが、果たしたそれだけでよいのか、と思います。

この関係で「そっくりさん」とパブリシティ権の問題も興味をもって調べています。毎年、大学院の授業でも検討してもらっています。

じゅんいちダビッドソンをCMに起用した場合に、それは彼の顧客吸引力を使用していることになるのか、本田圭佑の顧客吸引力を使用していることになるのかなど。

顔のそっくりさんだけに限らず、声のそくっりさんなんかもCMで起用すれば、本人と間違う人はでてくると思います。

アリアナ・グランデのような事案に法的判断が下されると、スタイルとパブリシティ権の今後のためにも有益な先例になるように思います。

ちなみに、個人的にはこのケースでパブリシティ権侵害はないように思います。アリアナ・グランデ風でしかなく、本人の顧客吸引力を使ったとまでは認識できないのではないか、と。

弁護士大橋卓生