Katy Perryと著作権侵害


2019年7月29日、Katy Perryの2013年のヒット曲”Dark Horse”が、2008年にリリースされたクリスチャン・ヒップホップのグループFlameの”Joyful Noise”の著作権を侵害するという評決がロスの連邦地方裁判所で下されました。

そして、8月1日、損害賠償額を$2.78M(約3億円弱)とする評決が下されました。Dark Horseは何人かの共作になっているので、Katy Perryの負担は$550,000のようです。

米国の盗作裁判は提起されるもののトライアルまで進む事案は少ないように感じていましたが、ここのところ、”Blurred Line”や”Stairway to Heaven”がトライアルまでいってます。

Katy事案の大きな争点としては、著作権侵害要件である”Access”(依拠)と”Substantial similarity”(実質的類似性)です。

“Access”について

Katy側は、Joyful Noiseを聞いたことがなく、Dark Horseは依拠せずに独自に創作したものだと主張していました。

これに対して、Flame側は、同作品がグラミー賞でのミートされ、YouTubeやMyspaceで数百万回再生されているとし主張して、Katy側がJoyful Noiseを聞いたことがある可能性がある、と主張していました。

陪審員が侵害を認めたということは、依拠を認めたということになります。

“Substantial similarity”について

Flame側は、両楽曲の基本となるオスティナート(リフ。約16秒間のリフレイン)のフレーズの長さ、ピッチ等が類似すると主張していました。

これに対し、Katy側は、ありふれた表現である、と反論していました。

何回か聞き比べても違う曲にしか思えませんでしたが、高音で繰り返される音とドラムの音に集中すると、似てるかも、と思います(”Dark House”は20秒くらいから)。

Dark Horse

Joyful Noise

“Blurred Line”事件ほど衝撃的ではありませんが、短い間隔で繰り返されるリフやドラムのリズムの類似で著作権侵害とされるとアーティストの創作活動が狭まるのではないかと思います。

これで侵害とされると、”Jhonny B.Goode“に代表されるようなロックンロールの典型的なリフやリズムも誰かの著作物に帰してしまうように思います。

メロディではなく、リフやリズムそのものの類似性が裁判で争われた例は、日本ではまだないと思います。
日本の裁判所は記念樹事件高裁判決(H14.9.6)を踏まえれば、メロディのある楽曲の表現上の本質的特徴はメロディということになり、メロディの類似性を中心にし、リズム等はサブ要素として比較検討されることになるのではないかと思います。

本件は”Blurred Line”事案に次いで陪審評決は怖いと思いました。

弁護士大橋卓生