Fleetwood Mac事件にみるバンドの法律関係(BAND LAW)


金沢工業大学虎ノ門大学院で行っているコンテンツ法務の授業の中でバンドの法律関係を扱っているのですが、日本ではあまり議論がなされていない分野の一つです。

個人的にも過去にバンドを組んでいた経験がありますが、一般的には、気の合う仲間同士が楽器を持ち寄って結成するもので、契約書を取り交わすなんていうことはありません。

サザンオールスターズは青山学院時代の仲間、ミスチルは高校時代の仲間からはじまってます。

日本で検討が進んでいないことは、欧米のエンタメローを参考にします。米国のMusic Law関連の書籍をみると、必ずバンドの法律関係が明記されています。中にはMusic Lawの一つの分野としてBand Lawなる分野を提唱する弁護士さんもいらっしゃいます。

それほど難しい話ではありません。米国では、バンドの組成にPartnershipやLLCを利用している例が多いようです日本で言えば、組合(契約)や合同会社といったところでしょうか。

Van HalenやLinkin ParkなどはLLCで組成しています。

日本法でいえば、組合とか合同会社です。ほかにも株式会社など法人形態であればいろいろ考えられます。要するに、バンドは、そのメンバーが共同で音楽活動を行い、その収益を分配する営利活動をする団体という理解です。

日本においては、先に一般的なバンドの組成からすれば、設立行為が必要な法人形態ではなく、諾成で成立する組合がもっともバンドに合致する形態だと思います。

さて、英国の老舗ロックバンドFleetwood Macが揉めています。

Fleetwood Macは、高校から社会人前期にかけてよく聴いたバンドの一つです。ありきたりですが、スティーヴィー・ニックス加入後の”RUMORS”とか”Tango in the Night”とかが好きです。

個人的な嗜好はおくとして、欧米のロックバンドはメンバーチェンジが多いですが、Fleetwood Macもしかり。詳しくはWikipediaで見てください。

今、揉めているのは、今年のツアーにギタリストのリンジー・バッキンガムが外れている件です(代役は、元トム・ペティ&ハートブレーカーズのマイク・キャンベルと豪華)。

リンジー・バッキンガムといえば、’75年にスティーヴィー・ニックスと共に加入し、Fleetwood Macの全盛期を支えた立て役者。10年ほど離れたこともありましたが、2003年の再結成以来

彼の主張によれば、今年の1月にマネージャーから、今年のツアーは彼抜きで行うことを告げられ、他のバンドメンバーに説明を求めるために連絡をとったが誰も折り返し連絡してこなかった、と。

彼の主張によれば、Fleetwood Macのメンバー間で明文の契約書は締結していないが、次の合意があったそうです。

  1. 重要な事項の意思決定については各メンバーが拒否権をもつこと(重要事項の意思決定は満場一致によること)
  2. 上記の唯一の例外は、シンクロナイゼーションライツの行使はその楽曲の作者が単独で承諾または拒絶する権利を有すること
  3. バンドの所有権はメンバーが均等の持分を有すること

彼は、Partnershipの成立を根拠に、他のバンドメンバーを相手に今年のツアーの収益の分配を求めて提訴しています。

Fleetwood Mac側は徹底的に争う姿勢です。

今回のリンジー・バッキンガム外しの原因としては、彼のソロ活動にあるようですが。。。前にバンドを離れたのも、ソロ活動をやるためだったので。。。

好きなバンドの内輪もめはあまり聴きたくありませんが、今後の展開が気になるところです。

個人的に、バンド法の最大の問題と考えるのは、バンド名は誰のものか、です。日本でいえば、クリスタルキングやHound Dogの事案がありますが、個人的にはDeep PurpleやBeach Boys,CCRの事案が興味深いので、折を見て紹介したいと思います。

弁護士大橋卓生