昇降格ルールの変更とCovid-19 -ベルギー編-


英国、フランスに続いて、ベルギーのプロサッカーリーグでもコロナと昇降格ルールの変更が問題となっています。

ベルギーの国内リーグは、1st Divison A(16チーム)−1st Division B(8チーム)− National Division(セミプロ16チーム)から成るようです。

昇降格ルールは、1Aから1B降格は最下位の1チーム、1Bから1Aの昇格とはトップ1チーム、1BからNDへの降格は下位3チームです。

今回、ベルギーのプロサッカーリーグは、かなり迷走したようです。

ベルギーのプロサッカーリーグは、3月に、残り1試合を残して中断したようです。4月初旬に、プロサッカーリーグの理事会は、シーズンを終了して1Aの首位にたっていたClub Bruggeを優勝する案を推奨し、総会に諮ることにしました。

4月に予定されていた総会の期日は延期され、政府が7月末日までのスポーツの禁止を打ち出した後、5月15日に開催されました。

この際、1Aシーズンの打ち切りとClub Bruggeの優勝が決定しました。また、投票により、8月から始まる2020/21シーズンの体制が16チームと決まったことから、中断時最下位にあったWaasland-Beveren(小林祐希選手所属)の降格も決定しました。なお、Waasland-Beverenは、15位のチームと2ポイント差でした。

英国編やフランス編でみたように、下位リーグへの降格はクラブにとって一大事です。ルールにないシーズン途中終了とその際の順位で降格するという新たなルールは、Waasland-Beverenには不合理です。

残り1試合で1Aは終了するという決定ですが、2Aについては首位のチームと2位のチームで次シーズンが開幕する数日前にプレーオフを実施するということも決定されたようです。

しかも、この総会まで、プロサッカーリーグのワーキンググループは1Aを18チーム(1Aから降格なし&1Bで首位を争っている2チーム昇格し、3年以内で元の16チームに戻す)という案で進んでいたようです。

ところが、報道レベルの話ですが、昨年、ベルギーのプロサッカーリーグでマネーロンダリングや賄賂スキャンダルを起こしたインフルエンサーが動いて、総会票(80%以上の賛成が必要)をとりまとめた模様です。

そんなこんなで、Waasland-Beverenは、最初、Belgium Competition Authorityに総会決定を無効とするよう訴えましたが、覆りませんでした。

そこで、ベルギーのCASことBASに上訴しました。

Waasland-Beverenは、総会の招集や議題の通知に関する手続違反や規則にない新たなルールの遡及適用禁止のほか総会決定が不合理であることを主張しました。

仲裁パネルは、総会決定は著しく不合理であるとして、これを無効と判断しました。

理由としては、次のような感じです。

  • 1試合を残してシーズンが終了したが、残り試合の結果によって降格する可能性は、Waasland-Beverenだけでなく、15位のOstendにもあった。
  • 1Bは残り1試合を行うのに、1Aは行わないという扱いの違いについて何ら説明がなされていない。
  • 理事会は、Waasland-Beverenを降格させないという議案も考えられたのに、降格案しか提案しなかった。

ただ、完全に降格がNGというような内容ではないようです。きちんと実現可能なオプションを検討して意思決定せよ、という感じかと思います。

フランスの事案でもそうでしたが、意思決定の歪みを是正しつつ、最終的な決定は団体自治に委ねる、という感じですね。

ベルギーのプロサッカーリーグは、このBAS決定が出る前日に、2020/21体制を公表し、放映権者との契約も済ませて放映プランも発表したようで、当たり前ですが、かなり混乱しているようです。

すっことランドのプロサッカーリーグでも、降格の危機にある下位2チームが法的アクションを起こしているようです。

弁護士大橋卓生