以下の作品は、2003年にパレスチナのベツレヘムの壁に描かれた”Flower Bomber”とか”Flower Thrower”とか”Love is in the Air”などと呼ばれている作品です。
Banksyを代理する会社Pest Control Office Limited社(UK)は、2014年に上記作品をEUIPO(欧州連合知的財産庁)に商標登録の申請をし、登録されていました。主として次のような商品やサービスを指定していました。
塗料、サングラス、録音済CD、娯楽目的のコンピュータゲーム、印刷物、ステーショナリー、写真、ポスター、書籍、ハンドバッグ、財布、鞄、建築素材、衣服、カーペット、おもちゃ、教育・訓練、娯楽、美術展、アートワークデザイン等
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ハリウッド黄金期といわる1930年台〜40年台ですが、その黄金期を支えた制度ーブロックブッキングや一律の料金設定、劇場への不透明なクリアランスなどやこれらを支える大手スタジオの映画館保有ーが反競争的として、司法省が反トラスト法(アメリカの独占禁止法)のメスを入れた時代でもありました。
その結果、当時最大手だったパラマウント・ピクチャーズの名称を冠したパラマウント判決が出され、映画館の保有が禁止されるなど映画興行ビジネスの変革を余儀なくされました。
70年超が経過した2020年、司法省はパラマウント判決の廃止を決定し、8月に裁判所はこれを認める決定を出しました。
興味深い決定でしたので、決定書を読んでみました。
■ パラマウント判決
対象となったのは、次の映画会社です。
Paramount Pictures
20th Century Fox
Leo’s/MGM
Warner Brothers
RKO Radio Pictures
以上の5社は、ビッグファイブと呼ばれ、 ハリウッドにスタジオ 続きを読む パラマウント判決の終焉 →
ロンドン五輪のペルー代表だったペルーの水泳選手のドーピング事案です。これが2度目の違反となります。
最初の違反は、2016年です。
2015年のパンアメリカ大会で実施されたドーピング検査で検体からS1のスタノゾロール(アナボリックステイロド)が検出され、4年の資格停止が課されています(CASに上訴するも棄却)。
最初の資格停止期間の4年は、2019年7月11日に終了しています。
ペルー水泳協会は、この選手を2019年7月26日〜8月11日にペルーで開催されたパンアメリカ大会のペルー代表として選出していますが、次のとおりすぐにドーピング違反が発覚しました。
2019年6月30日 競技会外検査(検体1)
2019年7月7日 競技会外検査(検体2)
2019年7月12日 競技会検査(検体3)
2019年7月31日にFINAはこの選手に対して検体1および検体2の 続きを読む プールスイマー(ペルー)ドーピング事案:FINA2020.8.19 →
マンCのFFP違反裁定に続いて、CASから興味深い裁定が出ています。
急成長しているStand-Up Paddleboard(SUP; スタンドアップパドルボード)というスポーツを巡って、どちらがこのスポーツを統括するかについて、国際サーフィン連盟(International Surfing Association; ISA)と国際カヌー連盟(International Canoe Association; ICF)とが争っていました。
ISAの主張によれば、もともとはハワイのサーファーが考案して広まったスポーツのようで、サーフィンの一種別と認識しているようです。
ICFの主張によれば、ICFが統括するスポーツの定義にパドルを使ったアクティビティも対象としているとのことです。
上はカヌー、下はサーフィンというなぞなぞの問題みたいなスポーツです。
続きを読む スタンドアップパドルボードの行方:CAS2018/O/5830 →
2020年2月にUEFAが、FFP違反を理由にマンチェスター・シティ(マンC)に対し、チャンピオンズリーグ等UEFAのクラブ選手権への出場を2年間停止する等の処分が出され、大きなニュースになりました。
それから約5か月、CASは、マンチェスター・シティのUEFAのクラブ選手権への出場を2年間停止する処分を取消す等という裁定が出されました。
この大きな結論の違いが、なぜ生じたのかが気になって、CAS裁定を見てみました。裁定を読むとFFPを理解していないと、理解できないところがあるので、FFPを読みました。FFPを読むと・・・という感じで、関連規則が理解できたので、まとめてみることにしました。
そういえば2019年にはACミランがFFP違反でUEFAから2シーズンの出場停止処分等を課されましたが、CASで和解して1シーズンの出場停止にとどまっています(CAS2019/A/6083,6261)。
■ FFPとは
続きを読む マンチェスター・シティFFP違反事案:CAS2020/A/6785 →
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