「エンタテインメント法」カテゴリーアーカイブ

パラマウント判決の終焉

ハリウッド黄金期といわる1930年台〜40年台ですが、その黄金期を支えた制度ーブロックブッキングや一律の料金設定、劇場への不透明なクリアランスなどやこれらを支える大手スタジオの映画館保有ーが反競争的として、司法省が反トラスト法(アメリカの独占禁止法)のメスを入れた時代でもありました。

その結果、当時最大手だったパラマウント・ピクチャーズの名称を冠したパラマウント判決が出され、映画館の保有が禁止されるなど映画興行ビジネスの変革を余儀なくされました。

70年超が経過した2020年、司法省はパラマウント判決の廃止を決定し、8月に裁判所はこれを認める決定を出しました。

興味深い決定でしたので、決定書を読んでみました。

■ パラマウント判決

対象となったのは、次の映画会社です。

Paramount Pictures
20th Century Fox
Leo’s/MGM
Warner Brothers
RKO Radio Pictures

以上の5社は、ビッグファイブと呼ばれ、 ハリウッドにスタジオ 続きを読む パラマウント判決の終焉

Enola Holmes vs Sherlock Holmes

サー・アーサー・コナンドイルのシャーロック・ホームズの小説の著作権は、日本では保護期間が切れてパブリックドメインになっているようです。ただし和訳版は残っていると思いますので、注意してください。

日本と保護期間が異なるアメリカでは、事情が違うようです。

1887年から1927年に創作された60作品のうち50作品は著作権の保護期間が切れているようですが、第一次世界大戦後に創作された10作品は2018〜2022年まで残っているようです。

アメリカの小説家Nancy Springer氏は、2006〜2010年の間に、シャーロック・ホームズの妹エノーラ・ホームズを主人公にした「エノーラ・ホームズの事件簿」シリーズ6作品を創作しました。

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Call of Duty vs Humvee

Call of Duty(CoD)は、一人称視点のシューティングゲーム(FPS)です。最近は、オンラインマルチ化していますが、キャンペーンモードでシナリオを進めて行くのが面白いです。

CoD4″Modern Warfare”が一番好きです。チェルノブイリの事故でゴーストタウン化したウクライナ・プリピチャ市のあの遊園地で戦ったり・・・いろんなシリーズをやりましたが、現代戦・二次大戦をテーマにしたものが好きです。未来戦はもう兵器がよく分かりません。

現代戦や二次大戦のキャンペーンモードは史実を織り交ぜたシナ 続きを読む Call of Duty vs Humvee

米Tattoo著作権訴訟とLandmark Decision

以前に紹介したTattoo事案のうちNBA2Kの訴訟でタトゥーの著作権に関する裁判所(ニューヨーク南部地区の連邦裁判所)の判断が出ました。おそらくタトゥーに関して法的な判断は初めてではないでしょうか。

事案のおさらい

被告となっているTake Twoとその子会社2K Gamesは、NBA2kというNBAを再現したビデオゲームを開発し販売しています。

リアルに再現しているので、選手の身体に彫ってあるタトゥーも再現されています。

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KATY PERRY “DARK HORSE”逆転勝訴

以前に取りあげたKaty Perryの著作権侵害訴訟ですが、2019年7月に、ロスの連邦地方裁判所の民事陪審で著作権侵害及び損害賠償$2.87Mという評決が下されました。

陪審員の評決後にもJudgment as a Matter of Lawの動議を出せるようで、2020年3月16日、裁判所は、トライアルに提出された証拠から、陪審の評決を取り消すという結論を出しました。
Katy Perry側の逆転勝訴ということになります。

事案をおさらいしますと、次のような感じです。

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LED ZEPPELIN “Stairway to Heaven” 勝訴

“Stairway to Heaven”(天国への階段)のイントロは、もう手ぐせになっているので、ギターを持つとウォーミングアップがわりに無意識に弾いてしまいます。

その著名なイントロ部分が盗作だと指摘され、長年著作権侵害訴訟が続いていました。

訴えたのは、”Taurus”という曲を作曲したSpirtというバンドのRandy California(Randy Wolf)の遺産管理人です。Randy Californiaさんは1997年に亡くなっています。

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象のHappyさんと基本的象権

Nonhuman Rights Project(NhRP)という、人と同様、動物に基本的権利を与える活動をしている団体があります。動物園にいる動物に自由になる権利を主張し、解放する活動を行っているようです。

ニューヨーク・ブロンクスの動物園にいる齢48歳になる象のHappyさんは、過去に、人間と同様、鑑に写った自分を認識できることを示した象さんで、この研究はサイエンス誌に掲載されたようです。

NhRPは、Happyさんを代理して、違法な投獄から解放するため、人身保護に基づき、ブロンクスの動物園からテネシー州やカリフ 続きを読む 象のHappyさんと基本的象権

Graffiti 2 – VARAと落書きと破壊 –

他人の所有物に無断で落書きをすることは、器物損壊や建造物損壊など刑事罰が科される違法行為です。それが例えBanksyであっても、結論は同じです。

このあたりは、以前の投稿”GRAFFITI – 落書き著作権-“でまとめたところです。その中で、NYの5Pointzの事案に触れましたが、控訴審2nd Cir.の判断が出ましたので、その内容を読んでみました。

概 要

そもそもの始まりは、2002年、廃倉庫の所有者が、有名なスプレーアーティストJonathan Cohen(アーティスト名:Meres One)氏に 続きを読む Graffiti 2 – VARAと落書きと破壊 –

株式会社Aerosmith

「いらっしゃいませ」が「エアロスミス」に聞こえる経堂駅前のコンビニの店員でおなじみのAerosmith。

50年ものキャリアがあるのに、メンバーの入れ替わりが少ないバンドです。

今年は、MusiCares Person of the Yearを受賞しその授賞式およびグラミー賞でも演奏しました。しかし、そこには、創設メンバーのJoey Kramer(Dr.)の姿はありませんでした。

Aerosmithの日本公演はだいたい行っていますが、お腹にずしんと響く彼のバスドラの音は印象に残っています。

さて、不在の理由を調べていると、Joey Kramerが他のメンバーを相手に訴訟を提起していたことが判明しました。

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Radiohead “Creep”と盗作の連鎖?

ようやくゴーストノートの入れ方のコツをつかみました。その動画を探している中で、既に解決しているようですが、興味深い事案を見つけました。

問題となったのはLana Del Rayの“Get Free“(2017)です。この曲の序盤部分とプリコーラス部分。

問題を提起したのは、Radioheadです。
“Get Free”は、彼らの楽曲”Creep“(1992)を利用しているとして、”Get Free”のロイヤリティ収入の分配を求めたようです(訴訟には至っていない模様)。

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