Dance Dance Dance


一時期、TOKIOがCMをしていたオンライン・バトルロイヤルゲーム”Fortnite”(フォートナイト)が、法廷でバトルをしてます。

オンライン・バトルロイヤルゲームは、基本的に、複数人(FortniteやPUBGでは100人)が同時に一つのマップの中で、最後の一人になるまで戦い抜くサバイバルゲームです。

ちなみに、Fortniteは少しかじりましたが、いろいろ作りながら敵を倒していくことを習得するのに時間がかかりそうだったので断念。バトロアはもっぱらPUBGです。

FortniteもPUBGも、ゲームの中で自分が操るキャラクターのスキンを飾るのが結構楽しいです(特にゲームの優劣に関係しませんが)。

スキンと並んで楽しいのが、EMOTE(エモート)と言われるキャラクターの動きです。他のキャラクターに向かって手を振ったり、うなずいたりなど。

Fortniteは、特に、ダンスのエモートが豊富です。

見たことのあるダンスも結構あります(江南スタイルやいいねダンスとして有名になったシュートダンスとか)。

ラッパーの2 Millyと俳優のAlfonso RibeiroがFortniteのパブリッシャーEpic Gamesを著作権侵害で訴えています。

2 Millyのダンスは、Fortniteでは”Swipe it“というタイトルです。Alfonso Ribeiroのダンスは、Fortniteでは”Fresh“というタイトルです。

後者の”Fresh”は、Alfonsoが出演しているSitcom “The Fresh Prince of Bel-Air”(ベルエアのフレッシュプリンス)という番組にちなんだものと思われます(この番組は過去にウィル・スミスがでてました)。彼のダンスは、番組のAlfonsoの役”Carlton Banks”にちなんで”Carlton Dance”と呼ばれているようです。

いずれも特徴的な身体の動きだということは分かります。

果たしてこれらのダンスに創作性が認められるか、というのがこの訴訟の争点です。

Epic Gamesは、当然のことながら、著作物性を否定しています。個々のダンスのステップ及び単純なダンスのルーティンは著作権法で保護されないとし、表現の自由の範疇だと反論しています。

日本の著作権法でもアメリカの著作権法でもダンスの振付(Choreography)は著作物として著作権の対象となります。

日本の裁判例としては・・・

①バレエ振付(東京地判H10.11.20)
バレエの振付に著作物性を認めました。著作物性がギリギリ争われたものではないようです。

②日本舞踊振付(福岡地判H14.12.26)
日本舞踊の振付に著作物性を認めました。
判決ではあまり詳しく書かれていませんが、伝統芸能・民俗芸能に手本となる踊りがあっても、そこから離れた独自性が認められる、というところがポイントのようです。

③手あそびうた振付(東京地判H21.8.28)
「グーチョキパーでなにつくろう」や「キラキラぼし」など歌に併せて指や手を動かす手遊びの歌詞及び振付の著作物性が争われました

例えば、「グーチョキパーでなにつくろう」では「みぎてがグーでひだりてがパーで めだまやき めだまやき」などの歌詞とその際の手の振付の著作物性です。
裁判所は、目玉焼き、というアイデアが決まれば、歌詞のように表現することはありふれたものである、として著作物性を否定しました。

また、「キラキラぼし」では、「キラキラひかる」の歌詞に合わせて両手首を回すことは、星が瞬く様子を表すものとして誰もが思いつくようなありふれた表現である、として著作物性を否定しました。

④社交ダンス振付(Shall we dance?事件・東京地判H24.2.28)
映画の中で使用された社交ダンスの振付の著作物性が争われました。

社交ダンスが、原則として、基本ステップや書籍「ポピュラーバリエーション」のステップ等の既存のステップを自由に組み合わせて踊られるものであり、それらのステップはごく短いものであり、社交ダンスで一般的に用いられるものである、として著作物性を否定しました。

また、既存のステップにはない新たなステップや身体の動きを取り入れることがあるが、これら新しいステップや身体の動きは、既存のステップと組み合わされて社交ダンスの振り付け全体を構成する一部分となる短いものにとどまり、著作物性は認められない、としました。

ポイントとしては、このような短い身体の動き自体に著作物性を認め、特定の者にその独占を認めることは、本来自由であるべき人の身体の動きを過度に制約することになりかねない、とのことです。

⑤フラダンス振付(大阪地判H30.9.20)
フラダンスの振付の著作物性が争われました。

フラダンスの振付けは、歌詞の意味を表現する手の動き(ハンドモーション)とリズムを刻むステップから構成されるそうです。

ハンドモーションは、特定の言葉に対する動作が決まっているそうです(一つではないようです)。基本書等に出てくる言葉とハンドモーションの対応などはありふれたもの、として著作物性が否定されています。

しかしながら、歌詞から想定される既定のハンドモーションでも、他の類例に見られるものでも、それらと有意な差異がないものでもない場合には、その動作は、当該歌詞部分の振付けの動作として、当該振付けに独自のものであるか又は既存の動作に有意なアレンジを加えたものいうことができる、として著作物性を認めています。

ステップについては、典型的なものが存在しおり、歌詞を表す動きでもないなど基本的にありふれたもの、として著作物性を否定しています。

しかしながら、ステップが既存のものと顕著に異なる新規なものである場合には、ステップ自体の表現に作者の個性が表れていると認めるべき、として著作物性を認めています。

 

こうしてみてくると、どれもジャンルの違うダンスなので、なかなか基準となるようなものは見えませんね。
強いていえば、基本書など一般的な動きとはかけ離れている独自性が必要、という感じでしょうか。

Shall we dance?事件で、裁判所が指摘した短い動きに独占性を認めることへの不都合さは、どう考えたらよいのでしょうか。

米国の著作権局は、著作権登録のガイドラインで振付の著作物性について、次のように述べています。

  • 個々の動きやダンスステップそれ自体は著作権で保護されない
  • 2,3の動きやステップからなるダンスのルーティンは、新しいものでも独特なものであっても、著作権登録できない。
  • この一例としてアスリートの勝利のジェスチャーがあげられてました。
  • さらに、社交ダンスについては、社交ダンスのステップやルーティンは、著作権法上の振付の著作物には含まないことは著作権法の起草者が明らかにしている、とのこと。

社交ダンス嫌いな起草者なのかなと思いました。

  • あと、人によってパフォーマンスされないダンス(動物やロボットなどによるダンス)の振付は、著作権登録できないようです。

 

Fortniteに戻りますが、2 MillyのダンスもAlfonsoのダンスも特徴的な動きをしてますが、短い動きの繰り返しだと思います。
どのように判断されるか、日本での振付の争いにも参考になりそうですので、注目されます。

授業では、ギャグの著作物性を検討してもらったりしています(ゲッツやそんなの関係ねぇとか)。
2019年度の授業では、ひげダンス変なおじさんダンスの著作物性を検討してもらうことにします。

弁護士大橋卓生