Blade Runner 2049 vs Peugeot


Box Office Mojoによれば、1982年”Blade Runner”の続編”Blade Runner 2049″(2017年)は、全世界で興行収入約$259M(約283億円)だったようです。
2017年の全米興収ランクでも34位という感じです。
制作費が約$150Mのようですので、大成功を収めたというものではないと思います。

ちなみに、2017年に公開された”Star Wars :The Last jedi”は全世界で約$1.33B(約1458億円)を稼いでいます。もちろん2017年の興収は全米1位です。

こういう背景もあって、”Blade Runner 2049″の製作会社が、フランスの自動車メーカー・プジョーと揉めています。揉めているというか、裁判を起こしました。

“Blade Runner 2049″を観た方は分かると思いますが、映画に登場するSpinnerという空飛ぶ車はPeugeot製だったりします。
ちなみに、’82年”Blade Runner”ではSpinnerはアルファロメオ製でした。

映画の製作・宣伝広告費を調達する方法の一つとしてProduct Placement(プロダクト・プレイスメント)というものがあります。簡単にいえば、ある企業から対価を得て、その企業の製品やロゴを映画に登場させるというものです。

“Blade Runner 2049″では、ビッドの結果、Peugeotに決まったようです。Peugeotが入札した内容は、Product Placement Feeとして約$750,000(約8100万円)に加えて、Media Spend$40M(約43億円)で提案したようです。

前者のFeeは映画会社に直接支払われるものです。後者のMedia Spendは、Peugeotが映画の宣伝のためにテレビ等のタイアップCMに費やすことを約束するものです。

訴状が132頁にも及ぶので全部読み切れていませんが、要はPeugeotがMedia Spendを履行しなかったので損害賠償せよ、ということのようです。損害としては最低$30Mを求めています。

今後、Peugeotがどのような反論をしていくか興味深いところです。

大ヒットしていれば、こうした訴訟は起こらなかったのかもしれません。

プロダクト・プレイスメントといえば、007シリーズですね。2015年”007 Spectre”では30社ほどあったようです。プロダクト・プレイスメントによって支えられているといっても過言ではなさそうです。

日本でも「君の名は。」で、サントリーの製品が登場したりしていました。少し古いですが、「魔女の宅急便」も、ヤマト運輸の登録商標「宅急便」を用いており、プロダクト・プレイスメントの一類型といえます。

プロダクト・プレイスメントの契約で肝要な点は、クリエイティブコントロールでしょう。

製作側としては、企業のロゴや製品を不自然に登場させると作品自体の魅力がなくなってしまいますので、具体的な登場のさせ方は裁量が欲しいところです。

他方、企業側としては、できるだけはっきりと製品や企業ロゴを登場させたいとか、映画の中の悪役でプロダクト・プレイスメントを実施した場合に悪いイメージがつく懸念もありますので、具体的な場面に口を出したくなります。

この両者の意向をいかにバランス良く解決するかがポイントです。

弁護士 大橋卓生