イタリア 株式会社スティーブ・ジョブズ


2012年、イタリア人の兄弟が設立した企業STEVE JOBSが、APPLEとの商標の争いに勝利しました。

兄弟は、STEVE JOBSが商標登録されていないことを気づいて、服飾・アクセサリーを扱う自分たちの会社の社名に使用し、これを商標登録しました。

そして、ロゴも作り、Jという文字をベースに、APPLEのリンゴマークを想起させるように、Jの上の部分にAPPLEのリンゴマークにある葉の表現を付し、Jの中程の右側がかじられているという表現を使いました(下図;EUIPOデータベースより)。

STEVE JOBSロゴ

さすがにAPPLEは怒りますよね。しかしながら、商標の世界では、これが認められてしまいました。

JロゴとAPPLEリンゴマークのロゴは、葉の部分やかじられている部分が似ていますが、EUIPOは、Jは食べ物でなく、かじられている表現はAPPLEリンゴマークをまねたものではない、という判断で非類似としたようです。

STEVE JOBSはそもそもAPPLEも商標登録していませんでした。

結果、イタリア人兄弟は、STEVE JOBSとJロゴを使えることになりました。既に、デニムについて、STEVE JOBSブランドを展開しているようです。

そもそも、人名が商標登録できるか、ですが、日本の商標法では、「ありふれた氏または名称を普通に用いられる方法で表示する」ものは商標登録できないとしています(商標法3①4号)。
同姓同名が多くいれば、商標登録できないことになります。

また、他人の氏名については、その人の人格権保護のため、その本人の承諾がなければ、商標登録できないとしています(商標法4条①8号)。

では、故人については、どうでしょうか。

商標法上、直接、規制する規定はありませんが、故人と無関係の人物が故人の氏名の顧客吸引力に便乗して商標登録しようとする場合、故人の名声や名誉を傷つけるおそれがあるなどの場合には、公序良俗に反するものとして商標登録が認められないことがあります(商標法4条①7号)。

このあたり特許庁は、審査の方向性を示しています。
周知・著名な故人について、無関係の企業等が商標登録した場合に地域の産業に悪影響を与え公正な取引秩序を害しないか、遺族の心情を害するおそれがないか等を考慮するようです。

調べてみますと、織田信長、豊臣秀吉や坂本龍馬などは登録された例があります。
他方、吉田松陰、高杉晋作、桂小五郎は登録が認められなかったようです。

STEVE JOBSの人名の商標登録の可否についてEUIPOがどのように判断したか調べてみたいと思います。

弁護士大橋卓生

参照記事